私のための日記



小さい時から年子の姉に付きっ切りだった母さんは夕方家にいなかった。年子の姉がバスケをしたりピアノをしたりしてたから忙しかった。

1番上の姉さんと2人でよく家にいた。
父さんはいつも横になってテレビゲームをしてた。
姉さんと2人で食器を洗ったりして何かしら2人が喧嘩になると父さんは凄まじい勢いで怒った。殴られる事はなかったけれどよく壁を殴ったり蹴ったりしていて怖かったなぁ。

いつしか1番上の姉さんは友達とばかり遊ぶようになった。
父さんもいつしか夕方も仕事ばかりになった。私は一人になった。誰もいないリビングはすごく怖かった。もちろんご飯はあったけれど。

1番上の姉さんが夕方たまにいる時があったけれど、姉さんもきっと寂しかったに違いない。よく訳のわからない八つ当たりをされた。
一番記憶にあるのは包丁を片手に『殺すぞ』リビングのすみまで攻められたこと。私は体育座りをして泣きながら『殺してみろよ』と言ってやった。
姉さんはひどく怖い顔をしてた。すごく怖かった。でも負けたくなかった。あの頃の私には姉さんが悪魔でしかなかった。

だけど今思う。
姉さんもあの時泣いてたなって。二人して声震わせて顔濡らして叫んでたなって。姉さんは私よりも不安だったのだろうね。なんせ長女なんだから。

色んな想いがあってそれにかなりの差で追いついて。大丈夫だと抱きしめたってもう遅い。

たいした過去ではないけれど当時の私は泣いていた。それが事実なのだから。今の自分を愛せないのならせめて過去の自分を少しずつ振り返って少しずつ愛してやろうと思うの。

これは私のための日記。
わけのわからない日記。

我が家にはサンタさんだって来たし一年に一回自分専用のケーキだって食べられた。
遊園地に行ったり海に行ったりもした。今だってみんな集まれば笑い合える瞬間はある。嫌なとこばかり見てしまえばそれまでだ。
私は心から家族を愛してる。
それだけで充分な幸せだろう。

普通さえも息苦しいなんて贅沢だよな。

ごめんね。母さん父さん姉さん。